関心高まる歯列矯正
歯の矯正をすると見た目が美しくなるだけでなく、身体的・精神的な不調を軽減するなど、さまざまな効果があることが近年明らかになってきた。歯列矯正の最新事情や具体的な治療法、医院の選び方などについて紹介する。
子どもから大人まで
歯列矯正とは、歯並びや噛み合わせの悪さ(不正咬合)を修正する歯科治療のこと。
不正咬合には歯が前に突き出す上顎前突(じょうがくぜんとつ)や、歯と歯のすき間のある空隙歯列(くうげきしれつ)などがあり、これらを放置しておくと「歯の間に汚れがたまり虫歯になりやすい」「歯周病になりやすい」「発音に影響を及ぼす」などの弊害が起きやすい。
特に成長期の子供は、顎(あご)の成長がうまくいかず顔にゆがみが生じることも。心理的にコンプレックスを抱えやすく、自信を失う原因にもなる。
また近年、不正咬合が体全体の健康にも害を及ぼすことが明らかになってきた。昭和大学歯学部歯科矯正学講座・元客員教授の平出隆俊氏は、「例えば噛み合わせが悪く片方でしか物を噛めない場合、片方だけの関節や筋肉が過剰に使われるようになる。その結果バランスを崩して顎関節症になったり、姿勢が悪くなり頭痛や肩こり、腰痛、眼精疲労などの症状を引き起こす場合がある」と指摘する。
治療の流れ
一般的な歯列矯正の方法は、矯正装置を使って歯や顎の骨に負荷をかけ、正しい位置に修正していくというものだ。
治療までの基本的な流れは、まず、初診相談で歯科医師から治療方法と期間、治療開始時期、費用などの説明を受ける。そしてレントゲンなどの検査を行い、その結果を基に詳しい治療計画を聞き、納得がいったら治療を開始する。
「矯正治療は”マルチブラケット法”と呼ばれる方法が一般的。まず金属または透明なセラミック製の出っ張り(ブラケット)を上下の歯に一つ一つ接着する。次にワイヤーを個々のブラケットに通して負荷をかけ、長期間かけて少しずつ歯を移動させていく」(平出氏)
治療の合間にはブラッシング指導や、必要があれば虫歯治療、抜歯も行われる。矯正の費用は原則として自己負担。症状や治療の内容によって費用が異なるので注意が必要だ。目立たないように歯の裏側に装置をつけたり、カラフルな色や透明な材質のものも登場している。
矯正に必要な期間も、症状や治療開始の年齢によって異なる。成長期の子供ならば矯正装置を外すまでおよそ二年、成人ならば2年半から3年が大体の目安だ。およそ4週間に一度のペースで通院し、ワイヤーの調整を繰り返す。
数年後に装置が外れたら、今度は仕上げとしての「保定期間」に入る。整った歯並びが元に戻らないよう、取り外し可能な保定装置を装着し、数ヶ月に一度のペースで通院する。
まずは専門医に相談を
最近では治療期間が通常より短い、ワイヤーがいらないなど新たな矯正法も出てきているが、まずは歯科医師の話を聞き、冷静に検討することが第一だ。
「歯科医院を選ぶ際に心がけたいのは、まず何軒か回ってみて、納得のいったところで治療を受けること。セカンドオピニオンを積極的に行っている医院もあるので参考にしてほしい。
また治療計画や費用の内訳について丁寧に説明してくれること、患者の疑問や質問に対して明確な答えをくれること、臨床経験の豊富な歯科医師がいることなども歯科医院を選ぶポイント。長いつき合いになるだけに、よく吟味することが大切だ。」(平出氏)
歯並びが気になる人、気になる症状がある人は、矯正歯科で相談してみてはどうだろうか。
2007年9月25日 日本経済新聞(夕刊)より


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